薬効食品キノコの秘密

キノコの根っ子 “菌糸体”は驚くべき養分の宝庫

ひとくちにキノコと言っても、それは、“子実体（しじつたい）” と “菌糸体（きんしたい）”に分けられます。キノコ狩りに出かけて、「あ、
見つけた」と指差す先にある、かさと太い柄のような部分、私達が普段見ている部分が子実体です。美味しそうに見えるキノコで
すが、実はキノコの栄養分は子実体の根元から土壌の中、あるいは樹木など植物の中に伸びている白い糸状の菌糸体の方に多
く含まれているのです。菌糸体は、土中や植物中で四方八方に伸び、栄養分を吸収して繁殖していきます。そしてまた新たな
子実体を作り出していくのです。もちろん、子実体にも食物繊維やミネラルなどの人体に有効な成分が含まれていますが、菌糸体が含むそれに比べると、ケタ違いに少ないのです。従って、子実体を食材とするキノコ料理に比べて、菌糸体のエキスを用いた健康
食品（錠剤や液剤）が何十倍もの薬効を誇るのは当然ということになります。特に菌糸体については、品質が安定していることから
医薬品として認可もされているのです。

光合成によって育つ植物とは違いパワフルな生命力のきのこ

「キノコは植物ですか？」と問われて、「はい」と答える方が結構おられますが、キノコは菌類ですから、微生物の一種に属します。
生物界は、動物、植物、微生物の三者によって成り立っています。といっても、それぞれが別個に生きているわけではなく、生命
連鎖の上で三者一体なのです。
草食動物は植物から栄養を摂って行き、死ねば土にかえります。植物は光合成プラス、土中の養分から栄養を吸い上げて生きて
いますが、それは動物の遺体や排泄物から養分を摂っていることにほかなりません。そして微生物はと言えば、植物の幹や枝に
菌糸をもぐり込ませるだけでなく、動物の遺体からも養分を吸収して生きているのです。つまり三者の中で最も生命力にあふれ、
栄養摂取の面でもバラエティーに富んでいるのが、微生物達と言えます。従って、キノコが私達に与える滋養パワー、薬効力は、
獣肉や穀類、野菜の非ではないほど強力なことがおわかりかと思います。

キノコと人間はどちらも水分比７０％の不思議

人間の祖先は魚だと言われていますが、そのもっと以前は何だったのでしょうか。おそらくは菌類であったと推察されます。キノコと
人間には大きな類似点が２つあります。それは生体に占める水分比と酵素の量です。
地球のほぼ７０％は海と湖で占められていますが、人体もまた７０％までが水分なのです。キノコの菌糸体細胞液の一般成分を調
べてみると、蛋白質、脂肪、炭水化物などの養分を除くと、その７０％までが水分となっています。これは単なる暗号なのでしょうか。
決してそんなことはなく、人間とキノコは遠い昔から似た者同士だったのです。霊長類と菌類の違いはあっても、この激烈な地上の
競争社会において、生き残るのに必要な身体条件を身につけていたからこそ、生存し続けてこられたのでしょう。

どんな食品より多彩な酵素群が特徴

キノコがすこぶる生存力に富んだ微生物であるもう一つの証拠をあげてみましょう。それは驚くほどの多彩な酵素群を持っている
ということです。酵素は、生体が活動する上で必要不可欠な高分子物質です。私達の体内で機能する酵素は、澱粉をブド
ウ糖に換え。最後は最後は二酸化炭素と水に分解するなどスーパーマンのような働きをしています。また、蛋白質をアミノ酸に
換え、脂肪は脂肪酸とグリセリンに分解するのも酵素の働きによるものです。
さて、キノコの酵素に目を移してみましょう。例えばシイタケの菌糸体細胞液の中には、約５０種類にも及ぶ酵素群が含まれて
います。植物の中で、これほど多種の酵素を持っている例は他にはありません。酵素は生物の代謝（古い物を捨て、新しい物
を取り入れる生命活動）に深く関わっている物質ですから、酵素パワーこそまさしく生命力の証明。キノコがいかに優れた健康食品であるかを示しています。

分解不要の遊離アミノ酸を多量に含む

私達が毎日摂取する栄養素の中で最も大事な蛋白質は、消化器官に入ると一旦アミノ酸に分解されてから吸収されます。
ところがこの工程はは常にスムーズにいくとは限りません。人によっては分解されないまま吸収されたりします。つまり、分解酵素
の機能不全ということです。
当然、こうなると厄介な症状が出てきます。まず、蛋白尿。次いで血液減少。これを放置しておくと慢性疲労の状態に陥りま
す。細胞の新陳代謝がうまくいかなくなるからです、慢性疲労で、「だるい」「根気が出ない」などの症状を訴える方が増えてい
ますが、その多くが分解酵素不全症によるもの、悪い血液状態が続いていると考えられます。
キノコには、こうした分解不全の問題を解決できる成分が、他のどんな食品よりも豊富に含まれています。例えば、シイタケの
菌糸体には、分解の必要なく直接吸収される遊離アミノ酸が１５種類も含有されているのです。

亜鉛・鉄・マンガンを吸収、濃縮する素晴らしい働き

ミネラルの中でも亜鉛は細胞の分裂に欠かせない物質ですが、キノコの菌糸体にはこの大事な物質を吸収し、濃縮させることに
よってミネラル効果をプッシュするという働きがあります。同様に、鉄、マンガンに対してもキノコ菌糸体は強く働きかけます。
鉄分は造血のサポート役として知られるミネラルですから、不足すれば酵素の供給がうまくいかなくなり、貧血症を引き起こします。
それを止める力がキノコ菌糸体にはあるわけです。
マンガンは細胞膜の保護に必要なミネラルで、吸収が不足するとエネルギーが下降し、疲れやすくなります。ここでもキノコ菌糸体は
その吸収を高めることで細胞膜をしっかり保護し、疲労回復を万全にさせる力を発揮するのです。

抜群の食物繊維含有量で腸をクリーンに

食物繊維の摂取こそ健康のキーポイント。腸壁に付着する老廃物が便秘を引き起こし、発ガンの一つの原因とも言われています
が、食物繊維は付着物を掃除してくれます。腸がクリーンになれば発ガン防止以外にコレステロールの低下、動脈硬化の予防に
もつながってきます。キノコ菌糸体に驚くほど多量に含まれている食物繊維があなたにそのメリットを与えてくれます。